ーーー人の気も知らないで。



こいつに言うべき言葉で、これ以上にふさわしい言葉を、俺は知らない。






「やめてぇぇぇぇコルシカはだめぇぇぇ!!」

 聞き慣れた男の、聞き慣れない叫びに、ケーキに入れるためにと吟味していたレーズンを、ドイツは迷いもなく放り出した。



 大声でどういう声をだしているんだこの馬鹿、



 そう言おうと思っていた言葉は、イタリアを羽交い締めにしてその服をたくし上げているフランスを見たとたん吹っ飛んだ。









「ドイツ!ドイツってばもうやめて!!フランス兄ちゃんしんじゃうー!!」

 気がつけば半分意識を失ったフランスが、足下に転がっていて。
 ロシアはとうの昔に姿を消していて。
 指の背についた血で、あぁ自分がやったのかと、どこか遠くで認識した。
 自分の腕にその両腕をかけ、必死に止めようとしていたらしいイタリアをちらとみやり、


「・・・・イギリスーーーーーー!!!!」



「な・・何だドイツ!!突然大声で呼ぶな!」



 ちらりと視界の端に見えた英国を、敵国などという概念は全く捨てて大声で呼ぶ。
 近づいてきた男に、自分の足下をあごでさし。



「転がしといていいか」
 
 自分で聞いても低い声で問うた。


「何故俺に聞く」
 即答はしたもののイギリスの顔は幾分青ざめている。


「良いかといっている。悪いなら海に沈めるが」




「・・・・・転がしとけ」

「そうか。突然呼んですまなかった。ではな」
 それだけ言うと、イタリアの腕をむんずと掴んで帰路につこうとして、振り返る。


「あぁ、それから」

「まだ何かあるのか!?」



「イタリアのフランス領は返してもらったと、生きてたら伝えてくれるか」

「ドイツ・・・それ明らかに頼んでないよ命令だよ」
 イタリアの小さなつぶやきは、ドイツイギリス両国にさっくり無視された。


「・・・・・分かったからさっさと帰れ」
 それ以上その見たこともない不機嫌オーラをまき散らすな。

 
 そう言わんばかりの英国に口の端を上げることで答え、今度こそ大股で歩き出した。










「あの、さ。・・・なんでそんなに怒ってるの・・?」


 とりあえず家へと連れ帰り、リビングへとイタリアを放り出したものの、そんなことを宣う相手に頭痛を禁じ得ない。


 大切な者が、あんな事を目の前でされていて、怒りを感じない生き物がいるものか。
 そう、言ってしまおうかと、口を開こうとしたとき。




「う・・・・うわぁぁぁんドイツーーー!!嫌わないでおねがいいぃぃぃぃぃ!!!」



 イタリアが泣きながら凄い勢いで抱きついてきた。



「何だってするからお願い嫌わないでぇぇぇぇーーー」

 ヴェーーーーー!



 涙を惜しげもなくぼろぼろとこぼしながら叫ぶイタリアの言葉に、ぴくりと眉がはねる。
 どうも今日は自分の感情のセーブが、酷く難しい。


 


「・・・・・何でもするのか、お前は」




「・・・ふぇ?」




 ぽつりと呟いた自分の言葉に、その丸い目を更に丸くして見上げるイタリアを、有無を言わさずソファーに転がし。



「ちょ、ドイツ」
「協力しろといわれればするのか、あんな方法で!土地がほしいと言われれば渡すのか、誰にでも?」

「え、何いって」


 混乱している相手に、考える時間を与えずたたみかけた言葉は、過たず自分の心の一番底に、鎮めておこうと決めていた事だった。






「それじゃあ俺がお前を全部欲しいと言ったら、お前は俺のものになるのか」






 今までに見たこともないくらい大きく開かれた、ガラス玉の様なその目に、一体どこまでひらくんだと頭の片隅で思いながら。


 もうどうにでもなれと。



 寧ろどうにでも、すると。





 返事を待たず、噛み付くように口づけた。






 ドイツのおかげで一瞬独立したイタリアが、すぐに「ドイツ占領中」になっちゃった、というネタを聞いて思いついたお話、デス。。

 ちょっと強引なドイツさん。(´ω`*)
 始めに書いてたらなんか微妙に昼読む内容じゃなくなってきたので、日記でうにゅー、とかいってたのですが、意外に普通に終わった(ぶっちぎったという説も否めない/逝け)ので、アップしてみましたー。

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(06.11.17 加筆)

 続きを誰かかいてください、という他力本願も良いところ・・!な丸投げボールを、
 なんと二人の方がキャッチしてくださいましたよ!!!゚(゚´Д`゚)゚

 どちらも素敵すぎるので、片方とは言わずどーんと両方いっちゃってください!!!

☆ かやかさまより 素敵すぎるエロス小説
 こちらの 素敵サイトにて、LOGのとこの「コルシカ」というお話で公開されています (*´д`*)
 ドイツ格好良いよドイツ!!!言葉攻めドイツ!!こんなドイツに苛められてぇぇ!!!(消えろ

☆ エンリオさまより 鼻血の吹き出すラヴ漫画
 エンリオさまがその素敵な筆遣いで続き漫画を描いてくださいましたありがとうございますエンリオさむぁぁぁ!!!(叫
 結局のところ根が優しいドイツですよ!も、ホントにこの人イタリアが大事なんだなぁ(´ω`*) 
 と ほくそ笑む 微笑むこと請け合いです☆ ラブラブ好きな方は是非!是非!!!
 

 この他に一応、伊都が凄いテンションでがんばったエロス話もあります、よ。。
 ホント一応・・デスが。(・ω・` ) こちらからどうぞ。